噛むことが脳に伝わる
現代病として多くが知られている高血圧、脂質異常症、糖尿病などの生活習慣病はアルツハイマー病・認知症発症の危険 因子です。現代病の予防も必要ですが、日本の高齢者(65歳以上)が認知症に罹る率は調査によってもばらつきがありますが3.0〜8.8%で、2026年には10%に上昇するとの推計もあります。認知症を予防することも老後を楽しく過ごすためには今後ますます重要となります。
認知症とは、脳や体の病気を原因として、記憶や判断力などの障害が起こり、普通の社会生活が送れなくなった状態をいいます。
認知症の予防には、脳血管疾患に罹らないために高血圧や糖尿病にならないことが大事です。具体的には、塩分を控え、バランスの良い食事と適度な運動、禁煙、節酒を心がけることです。これらは認知症だけでなく、多くの人が健康で生きるために日ごろから心がけていただきたい事でもあります。
そして、噛むことが最近の研究では脳を活性化させて認知症の予防につながることもわかってきました。
在宅歯科診療を行っている歯科医が介護が必要なお年寄りが歯や口腔の状態が改善しなんでも食べられるようになると、認知症が改善されたという例を発表されました。
うまく食べ物が飲み込めなかった患者さまに流動食を食べさせていたら、しだいに認知症の症状があらわれたそうです。ゆっくり時間をかけてでもいいので、口から食事をすることで嚥下障害も回復し、認知症もみられなくなったそうです。
また、高齢者の残っている歯の数と認知症の関係を研究した結果(財団法人認知症予防協会調べ)、健康な高齢者は平均14.9本あった残存歯が認知症の疑いを持たれた人には平均9.4本と少なく、歯の数と痴呆との関係は明らかになりました。
さらに、MRI検査では残存歯数と脳の容積の関係を調べた結果、歯の数が少ない人ほど、海馬付近と前頭葉の容積が減っていることがわかりました。
噛むと脳の血流量が増え、神経活動が高まることは昔から言われていますが、血流量が増えれば脳の活動を増強するせいだと言われています。
実験によると、くちゃくちゃと噛んで早食いをし、すぐに飲み込むような食べ方よりも意識的にしっかり、ゆっくり噛んで食べた方が脳の活性化が起こり、認知機能と深く関係する前頭前野の活性化も誘発されるということです。
認知症の予防だけでなく、自身の健康のためにも料理を食べるときにしっかり味わって食べることを心がけましょう。
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